人はいかにして逆ピラミッドの境地へと達するのか。記憶の中のトーストマスターズの出来事をたどり、現在そして明日への指標を探る、ささやかな独白です(H2O, DTM)。


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[武蔵編] 束の間、教壇に立つ

2月18日の木曜午後、私は社会人講師として大宮西高校の教壇に立っていた。高校1年生を相手に、「地域の社会人から生き方を学ぶ」という趣旨の下、私の生き方についてスピーチするためであった。なぜこのようなことになったのか言えば、それは武蔵クラブの会員に同校教員だった近藤K氏がいたからである。進路指導の一環として、社会人講師を招いてロングホームルームの時間に「私の生き方」や「私の高校時代」などのテーマで話をしてもらうという企画があるので、武蔵からもどなたかにお越しいただけないか、ということで私にお鉢が回ってきたのであった。

トーストマスターズでいくら人前で話す練習をしているからといって、私のような一般の会社員には外部でスピーチをする機会などそうそうあるものではない。平日なので休みを取る必要があるが、好奇心も手伝って私はこの話を引き受けることにした。1年生は8クラスあり、内2クラスが女子クラス。社会人講師は1クラス2人づつで合計16人、一人の持ち時間は20分ということだった。20分のスピーチなどそれまでしたことがなかったので、事前に武蔵と江戸の例会でリハーサルすることにした。テーマは「私の生き方」で、転職を通しての生き方の価値観の変化などについて話した。

トーストマスターズからの参加者は私一人で、後は西高の卒業生や地域の職業人の方などが主な顔ぶれであった。私と同じクラスになった方は住宅関係の営業マンとのことで、会社員生活の悲哀などについて話されていた。クラスに入って驚いたのは、時代を反映してか茶髪やガングロの生徒が多かったこと。茶髪はまあいいとしてもガングロの生徒が実際に学校の中にいるということにたじろいだ。近藤K氏によれば、今はそれが普通なのだという。高校の教室に足を踏み込むなど、何十年ぶりかの体験だったので、世代間格差のようなものを感じた。

それでもいざ話だすと、みな結構真面目に聞いてくれたようで、私も話を逸らさないように、失恋体験や燃え尽き症候群などの体験談を織り交ぜながら、「人生のリセットはできないが、生き方の選択はできる」という大層なメッセージで話をまとめた。終わったあとで生徒が書いた感想文を読み返すと、話の細かいところまで聞いてくれていたり、共感してくれたりで、こちらが逆に励まされた。トーストマスターズの教えを身をもって実感することになった。

このイベントは以降毎年続くことになり、いつの間にか講師はトーストマスターズで占められるようになった。武蔵ができ、近藤K氏との出会いがなければこのような流れにはならなかっただろうと考えると、人の縁とはつくづく異なものである。
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by inv-pyramid | 2008-07-26 15:03 | 2000年前半